最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)147 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人橋本武人の上告趣意は添附の別紙記載の通りである。
上告趣意第一点について。
記録に徴するに原判決において、原審証人Aの証言として摘録した文言の内「自
分が判示日時被告人と共に阪急宝塚線a駅で下車し」とあるのは誤りであつて、同
証人は被告人に同駅で会つたと供述して居るのであることは論旨の通りである。し
かし同証言によつて同証人と被告人とは同駅から途中連れ立つて判示場所に差しか
かつたこと及同証人が被害者Bから金品を強奪しようという意思のあつたことを認
め得るのであるから、虚構の証拠であるということは当を得ない。原判決は同証言
と原判決挙示の他の証拠とを総合して判示事実を認定したのであり、その認定は正
当であると認められる事から論旨は理由なきものである。同第二点について。
論旨の如く採証法則は実験則並に論理的必然性に反しないことであるということ
は異論のないところである。しかし有罪判決の証拠説示としては判示事実を認定す
るに至つた証拠を挙示すれば足りるのであつて其証拠を取捨した理由を明示する必
要はないものであり、判示事実は原判決挙示の証拠によつて充分に認定し得るので
あるから論旨は採用し難い。
同第三点について。
しかし没収にかかる物件が被告人の所有なりや否やは犯罪事実ではないから、証
拠によつて、これを認定したことを判決に説明する必要なきものである。故に原判
決に挙示してある証拠は犯罪事実に関する証拠であつて没収物件が被告人の所有に
属することの証拠ではないとみるべきである。従つて右証拠によつて所論仕込杖が
被告人の所有であることが認められないとしても違法ではない。
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よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文の通り判決する。
以上は裁判官全員一致の意見である。
検察官 小幡勇三郎関与
昭和二十三年五月十八日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
裁判官 庄 野 理 一
裁判官 河 村 又 介
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